【経験談】グラフィックデザイナーは食えないからやめとけ？未経験者が知るべき事

この記事では、「グラフィックデザイナーって、やめとけって聞くけど実際どうなの？」という疑問に正直に答えていきます。

結論から言うと、グラフィックデザイナーが「おすすめかどうか」は人によりけり。

理由はシンプルで、給与が低くなりがち（食えない）＆ハードワークになるケースが多いから。

紙媒体自体、時代に逆行している部分もあり、将来性や安定面では不安要素があります。

とはいえ、全てが悪いわけではありません。

会社やチーム次第で働きやすさは大きく変わりますし、やりがいも確かに存在します。

ただし、「楽しそう」「広告デザインが好き」という気持ちだけで飛び込むのはかなり危険です。

この記事では、デザイナー歴10年以上の筆者が、リアルな視点をご紹介します。

• なぜ「やめとけ」と言われるのか
• 働いていて辛かったこと・楽しかったこと
• これから目指す人へのアドバイス

前半ではネガティブな面を話し、後半ではメリットや本音もお伝えします。

グラフィックデザイナーは「食えないからやめとけ」は本当なのか？

先にも触れましたが、グラフィックデザイナーが「おすすめかどうか」は人によります。

給与の割に業務量が多いことが多いのと、紙媒体中心の仕事は需要が減っているためです。

食えない傾向にあるのは、事実です。

それでも、たくさん制作して経験を積みたい人には向いています。（ハードだけど成長できますからね。）

定時退社で安定した生活をしたい人には、かなり微妙かと―――。

ただし、これは

• 企業の規模
• 業界
• 働く環境（制作会社 / インハウス）

によって大きく違うため、一概に「やめとけ」とも言えません。

どの業種にも当てはまることですが、ホワイト企業もあれば、ブラック企業もありますからね。

近年は働き方改革で残業が減ってきた会社も増えているので、環境次第では働きやすいケースもあります。

長期的にキャリアを築きたいなら、紙だけに依存せず、Web・UIなど別媒体も扱う会社を選ぶのが良いです。

紙媒体だけだと将来選択肢が狭くなるので、スキルの幅が広がる環境はかなり有利。

「デザインが好き」だけで突っ込むのではなく、自分の働き方や将来像に合う環境かどうかを基準に選ぶと良いでしょう。

グラフィックデザイナーは「やめとけ」と言われる4つの理由

「グラフィックデザイナーはやめとけ」といわれる理由は、大きく4つに分かれます。

理由①：紙媒体は利益が少なくオワコン化しつつあるから

グラフィックデザイナーは「やめとけ」と言われる理由1つめは、「紙媒体はオワコン化しつつあるから」です。

理由はシンプルで、

• デジタル化が進んで紙の需要が減っている
• 企業同士の価格競争が激しく、単価がめちゃくちゃ低い
• 利益を出すためには大量の案件をこなさないといけない

という状況だから。

オンラインで情報を得るのが当たり前になった今、紙媒体はどうしても衰退傾向にあります。

その結果、

• 「仕事量は多いのに給料が安い」
• 「休む暇がないのに、生活は楽じゃない」

そんなケースが多くなり、「グラフィックデザイナーはやめとけ」と言われてしまうわけです。

理由②：サービス残業が多くなりがちだから

グラフィックデザイナーは「やめとけ」と言われる理由2つめは、「サービス残業が多くなりがちだから」です。

①：クライアントの要求が厳しい

受託形式で仕事をする場合、クライアントの都合が最優先になります。

• 「やっぱりこの部分を明日までに修正してほしい」
• 「急ぎで別パターンも作ってほしい」

みたいな急な依頼が入りやすく、予定していた作業時間を大幅に超えることも普通です。

②：裁量労働制・みなし残業の落とし穴

グラフィックデザイナーは、

• 裁量労働制
• みなし残業（見込み残業）

このどちらかの契約になることがめちゃくちゃ多いです。

その結果、働いているのに残業代がないという状態になりやすい。

定時で帰ろうとすると「45時間分働いた？帰るの？」みたいな雰囲気が漂うのもあるあるです。

③：慢性的な人手不足

• 経験者が少ない
• 実力がある人ほど他業界へ流れる

こういう状況が続いているため、少人数で大量の案件をこなす体制になりがちです。

その結果、作業量が膨れ上がり、結果的にサービス残業が増える構造に。

理由③：誤植のプレッシャーがめちゃくちゃ重いから

グラフィックデザイナーは「やめとけ」と言われる理由3つめは、「誤植のプレッシャーがめちゃくちゃ重いから」です。

紙媒体を扱うデザイナーは、誤植のプレッシャーがかなり強いです。

広告バナーとかなら、あとから更新することができますが、紙は一度印刷したら終わり。

後戻りできません。

たった1文字、数字のミスでも、

• 再印刷でお金がかかる
• 納期が遅れる
• 企業の信用問題に発展する

といった大きな影響があります。

わたしも駅広告や店内ポスターなどの案件を担当すると、誤植のプレッシャーで胃がキリキリするレベルです。笑

ただし、デザイナーとしてのスキル向上や経験のためには、必要なプロセスでもあります。

一長一短ですかね。

誤植のプレッシャーが大きいから、「グラフィックデザイナーはやめとけ！」と言われます。

理由④：体調を崩しやすいから

グラフィックデザイナーは「やめとけ」と言われる理由3つめは、「体調を崩しやすいから」です。

グラフィックデザイナーに限った話ではありませんが、生活リズムが乱れやすく、体調を崩しやすい職種です。

特にグラフィックデザイナーは、リモートワークが難しいことが多く、体調が悪くても出社せざるを得ない状況になりがち。

さらに、デザイナーはとにかく目を酷使します。

その結果、

• 慢性的な肩こり・腰痛
• ドライアイ・頭痛
• 睡眠不足
• 自律神経の乱れ

このあたりは、デザイナー同士では「あるあるネタ」です。笑

締め切りに追われて休みづらい環境になると、「体調不良 → パフォーマンス低下 → さらに忙しくなる」悪循環に突入します。

こうした理由から、「グラフィックデザイナーはやめとけ」と言われることもあるわけです。

ただし、これはあくまで一部の現場の話。

ホワイト企業では、

• 定時退社
• 休暇が取りやすい
• 体調より仕事を優先させない文化

といった環境が整っていることもあります。

つまり、すべてのグラフィックデザイナーがしんどいわけではなく、企業選びで天と地の差が出ます。

グラフィックデザイナーを分析｜食えないからやめとけは事実なのか？

このような疑問について、実際どうなのかデータをもとに分析してみました。

①：残業時間について

doda職種図鑑によると、2023年のグラフィックデザイナーの平均残業時間は月21.4時間。

全94職種の平均残業時間（22.2時間/月）より少し低めです。

ただ正直、筆者や周囲のデザイナー仲間の体感では、もっと残業している人が多い印象―――。

実際には、月50時間前後の残業をしている人も珍しくないですね。

でもこれも一部の話で、全員がそうというわけではありません。

2022年のdoda職種図鑑では、2022年の平均残業時間は28.0時間だったため、1年で6.6時間も短くなっています。

近年の「働き方改革」がデザイン業界にも効いてきている可能性がありますね。

ということもあり、

• 「残業月20時間以内」
• 「定時退社OK」
• 「リモートワーク可」

といった求人も増えています。

②：給与について

doda職種図鑑によると、グラフィックデザイナーの平均年収は約354万円（＝月29万円くらい）とのこと。

この数字は、ボーナスや残業代を含めた総支給額なので、実際に手元に残る金額はさらに少なくなります。

また、dodaの平均年収ランキングでは、全職種の平均年収が403万円とされています。

つまり、グラフィックデザイナーは 平均より少し低いですね。

さらに、統計を細かく見ると、グラフィックデザイナーの約89%が年収500万円未満というデータもあります。

もし 年収をぐっと伸ばしたい と考えているのであれば、グラフィックデザイナーでは難しいかもしれません。

例えば、

• UI/UXデザイナーに転向する
• Webデザイナーへ領域を広げる
• 動画・3DCGなどプラスのスキルを身につける

など、市場価値の高い分野にシフトする道もアリです。

③：転職について

これはわたしの肌感ですが、グラフィックデザイン業界は昔価値観の古い企業が多いです。

そのため、

• 新しい技術の導入が遅い
• 働き方改革が浸透しにくい（リモートワークが少ないなど）
• 変化に弱く、アップデートが進まない会社もある

といったケースが見られます。

結果として、実力のあるデザイナーがより良い環境・待遇を求めて転職してしまうこともよくあります。

④：育成制度について

グラフィックデザインの業界では、大手やメガベンチャー以外だと、育成制度が十分じゃないケースが多いです。

中小企業やベンチャーは予算や人員に余裕がないため、

• 研修期間が短い
• 先輩が教える時間を確保できない
• いきなり実務に放り込まれる

という状況になりがち。

実際、わたしが以前働いていた会社では、研修3日で即・現場デビュー でした。

（正直、めちゃくちゃ大変でした…笑）

グラフィックデザイナーは担当業務が広く、新人育成に時間を割けない構造 になってしまいがちなんですよね。

まとめると、グラフィックデザイナーは 平均年収は低めだが、働き方改革の影響で、改善されている企業も増えてきています。

つまり、ちゃんと求人を見極めれば、ブラック環境は回避できるということ。

そのためには、転職エージェント・口コミサイトを使って企業の内情を知ることが必須だと思います。

（自分だけで探すと、わたしみたいにブラック企業を引きますよ…。）

グラフィックデザイナーのメリット・デメリット

ここまでの内容をまとめながら、グラフィックデザイナーのメリットとデメリットを簡単に整理します。

グラフィックデザイナーのいちばんの魅力は、自分の作ったデザインが”オフライン”で味わえることです。

ポスターや雑誌、パンフレット、広告など、自分のデザインをリアルで見れる時は、モチベーションになります。

また、デザインスキルは一度身につければ、一生の武器になります。

WebやUI/UXなど他のデザイン分野へ挑戦しやすく、キャリアの幅を広げやすいのも大きなメリットです。

その一方で、現実的なデメリットもあります。

納期前は修正が重なり、深夜や休日対応になることがあり、ハードワークになりやすいです。

さらに、紙媒体は誤植が許されず、プレッシャーがかかります。

給与もやや低めで、「このままで将来大丈夫かな？」と不安になりやすい職業です。

クライアント都合で振り回されたり、理不尽を感じる場面も少なくありません。

グラフィックデザイナーに向いていない人

ここまで話してきた内容もふまえて、「こういうタイプはちょっと向いてないかも…」というポイントをまとめました。

向いてない人①：こだわりを絶対に曲げられない人

グラフィックデザイナーが向いてない人の1つめは、「こだわりを絶対に曲げられない人」です。

デザインの現場では、自分の理想だけで作品を作れるわけではありません。

クライアントの意見が最優先なので、どれだけ気に入っているデザインでも、
一言で全て作り直しになることも普通にあります。

「なんでこんなに崩すの…」
「これ、もう自分じゃなくてもよくない？」

こうなると本当にメンタル削れます。

だから、柔軟に方向転換できない人には向きづらい仕事です。

向いてない人②：批判やフィードバックが苦手な人

グラフィックデザイナーが向いてない人の2つめは、「批判やフィードバックが苦手な人」です。

グラフィックデザイナーは、意見をもらう仕事です。

クライアント、上司、同僚、SNS… とにかく色々言われます。

ときにはデザインに詳しくない人に、「ここ微妙じゃない？」とざっくり言われることもあります。

―――が、そういう意見が意外と視点を広げてくれる場合もあります。

批判を成長の材料にできないと、しんどいかもしれません。

向いてない人③：最後までやり切る根気がない人

グラフィックデザイナーが向いてない人の3つめは、「最後までやり切る根気がない人」です。

修正は日常。

「これで完成！」と思った瞬間に、追い修正が入るのはデザイナーあるあるです。

「最初から言ってよ…」
「今までの作業なんだったの？」

そう感じる場面は多いですが、ギリギリまで粘れる根性がある人ほど活躍できます。

なので、ストレス耐性や粘り強さがないと、かなり厳しい世界です。

グラフィックデザイナーに向いている人

ここまでの内容を踏まえて、「こういうタイプは向いてる！」というポイントをまとめました。

向いている人①：情報を整理するのが得意な人

グラフィックデザイナーが向いている人の1つめは、「情報を整理するのが得意な人」です。

デザインって、ただ見た目を作るだけじゃありません。

大量の情報をどれが重要か整理して、わかりやすく配置する力が求められます。

レイアウトで優先度をつけたり、誤植を防ぐために細かいチェックをしたり…

丁寧さと分析力がある人は、かなり強いです。

向いている人②：コミュニケーションが得意な人

グラフィックデザイナーが向いている人の2つめは、「コミュニケーションが得意な人」です。

デザイナーは、ほぼ毎日コミュニケーションです。

クライアント、他部署、印刷会社などとやり取りを重ねながら進めていきます。

• 抽象的な要望を理解して言語化する力
• フィードバックを聞いて調整する柔軟さ

このあたりがある人は、めちゃくちゃ重宝されます。

向いている人③：問題解決が得意な人

グラフィックデザイナーが向いている人の3つめは、「問題解決が得意な人」です。

デザイン現場では、予定外のトラブルが起きることも多いです。

締め切り前に仕様変更、データ形式の齟齬、印刷の事故などなど…。

そんな時に、「じゃあこうすればいけるかも！」と冷静に対処できる力がある人は最強です。

問題解決能力が高い人って、どの現場からも重宝されるんですよ。

本音｜グラフィックデザイナーはやめとけ？おすすめ？

結論から言うと、デザイナーの入門としてはおすすめ。

でも「長期的に働くのは微妙」というのが筆者の本音です。

グラフィックデザイナーは、

• デザインの基礎
• Illustrator / Photoshopなどのツールの使い方
• クライアントとのやり取り

など、デザイナーとして必要なスキルを学べる入口としては、悪くありません。

なので、経験が浅い人や、まずは現場に入ってスキルをつけたい学生には向いています。

ただし、長期的に働き続けるのは正直キツい部分も多いです。

理由は、

• 残業や締切のプレッシャーが大きい
• 薄給になりやすい
• クライアントに振り回される
• 精神的ストレスが強い

など、身体とメンタルに負担がかかりやすいからです。

特に古い体質の企業では、「定時退社はやる気がない」という考え方が根付いており…。

実際、わたしも「残業100時間・手取り15万円・ボーナスなし・パワハラ環境」の会社で働いていました。

正直、地獄の日々―――。

わたしの知人が勤める企業では、大手デパートの直請けでも給与が低く、労働環境にもまぁまぁブラック。

でも、全部がそうではありません。

ホワイト企業もちゃんと存在します。

以前勤めたホワイト企業では、

• 月残業20時間以下
• デザイナーが尊重される文化
• 成長のための学習支援あり
• 相談すればサポートしてくれる体制

が整っていて、めちゃくちゃ快適でした。

同じグラフィックデザイナーでも、ブラックとホワイトで天と地の差があります。

グラフィックデザイナーが気になるならエージェントがおすすめ

迷っているなら、まず行動しよう

もし少しでも「グラフィックデザイナー気になるかも」と思っているなら、まずは応募してみる・調べてみましょう。

やりたいと思っているのに何もしないのは、正直もったいないです。

行動しないまま時間だけ過ぎるのは、機会損失。

求人探しは“一人でやらない”ほうがいい

求人探しは“一人でやらない”ほうがいい

経験の浅い人ほど、自分で求人を探すとブラック企業を引きやすいです。

わたしもそこで失敗しました…。

だからこそ、

• 転職エージェント
• 口コミサイト（OpenWork など）

このあたりは絶対活用したほうがいいです。

エージェントは企業とのつながりがあるので、

• 採用担当がどんな人か
• 面接で何を話すと良いのか
• ブラックの可能性がある企業

みたいな深い情報まで持っています。

ブラック企業を除外して紹介してくれるケースも多いので、自力で探すより圧倒的に安全です。

とりあえず登録しておくのもアリ

ぶっちゃけ、登録作業ってめちゃくちゃ面倒ですよね。

気持ちはめっちゃ分かります。

でも、面倒くさい時に動ける人が勝ちます。

求人サイトに登録しておくだけでも、

• 気になる求人をストックできる
• おすすめ求人メールが届く
• 寝る前に軽くチェックできる

みたいな感じで、いつでも動ける準備ができます。

先に登録しておくだけで、前に進めます。

わたし自身、エージェントに対して偏見めちゃあったけど、結果としてホワイト企業に入れたので―――。

本記事のまとめ｜「グラフィックデザイナーはやめとけ」は半分正解、半分間違い！

グラフィックデザイナーは、体力やメンタル面で負荷が大きい職種です。

だからこそ、できるだけ若いうちに経験しておくと武器になります。

キャリアの選択肢を広げるためにも、環境選びに妥協せず、自分に合った場所で成長してください。